株式会社ノジマの野島広司社長(68)が、子会社の携帯電話販売代理業「ITX(アイ・ティー・エックス)」(以下ITX)で店長を務めていた社員の実名を挙げて「使い物にならない」などと責めた文書が子会社のイントラネットに昨年8月掲載されたことが分かった。
この社員は昨年末に退社している。
「株式会社ITX」は2015年に「株式会社ノジマ」の完全子会社となり、現在は野島氏が社長を兼任している。
ノジマは「社員教育の一環」とするが、専門家は、国が企業に防止策を義務づける方針のパワーハラスメント(パワハラ)にあたると指摘している。
文書の内容は?
西日本地区の店舗を視察した時の話として、店長の社員を名指しした上で「こんなひどい店長がいるのかと思うぐらいのひどい店長でした。非常に騙(だま)すのが上手(うま)く、やるやる詐欺と、どうやって上司に認められるか、ということだけを考えているようで、この子は使い物にならない人だなというのが私の見立てでした」と記されている。
さらに、「(店長の)元部下だったという一人の女性が『(店長は)ロクな人ではなかった』と話していたので、あなた(女性)の方が凄(すご)いねと褒めてあげたいぐらいでした」と他の社員からの伝聞の形でも店長を責め、「人のまねをしたり噓(うそ)をついたりする方々を、皆さん見抜けるようになってください」「是非(ぜひ)とも格好つけでなく、お客様に真面目に向かって行動し、心を正して進めてください」と呼びかけている。
新入社員が心配…
個人的な話になるのですが、今年度新入社員として私の友人が「株式会社ITX」に入社します。
正直、社長がパワハラをパワハラと理解せずに行っているということは、その下で働く彼の上司となる方々も同じようにパワハラをしているかもしれません。
また、「ITX」は新入社員研修を「Business Grand Works(ビジネスグランドワークス)」(以下BGW)に委託しています。この「BGW」も「ノジマ」の子会社なのですが、2013年にゼリア新薬に入社し「BGW」の研修を受けた男性がその後自殺し、両親が訴訟を起こすという事件を起こしています。
その男性は研修報告書にこう書き残していました。
「吃音ばかりか、昔にいじめを受けていたことまで悟られていたことを知った時のショックはうまく言葉に表すことができません」
「しかもそれを一番知られたくなかった同期の人々にまで知られてしまったのですから、ショックは数倍増しでした。頭が真っ白になってその後何をどう返答したのか覚えていません」
「涙が出そうになりました」
一方、研修の担当講師はその報告書に赤字で次のようにコメントを残しています。
「何バカな事を考えているの」「いつまで天狗やっている」「目を覚ませ」
また、過去に自らもその3日間の宿泊研修を受けたことのあるゼリア新薬の新人研修担当者は次のように供述していました。
「軍隊みたいなことをさせる研修だなと感じました」
「いつも大きな声を出す必要があり、機敏な動きを要求され、指導員が優しくない」
「指導員は終始きつい口調」「大きな声で命令口調だということです」
「バカヤローといった発言も多少はあった」
「最終的には感極まって涙を流す受講者も出るような研修」
「研修会場はある種異様な空間でした」
「個人的にはもう受けたくない」
「途中で体調不良者が出ることもあります」
ここからは私の友人がつい先日実際に受けた3日間の宿泊研修のはなしなのですが、
まず研修の一番最初に「録音」「録画」等は禁止と言われたそうです。
また、研修期間中は休憩時間や自室にいるあいだも「電話」はできるだけするなとも言われたそうです。
そして、研修の内容なのですが、例えば意味のない大声での絶叫、挨拶、返事の練習。
生まれ変わる宣言。
そして「ビジネス基本十訓」を丸暗記し、大声で「50秒以内」に一言一句間違えず叫ばせるというものです。
下記がその「ビジネス基本十訓」です。
- 目標と熱意を持って 人生、時間は平等、結果は公正。
- 準備して、時間と期限を守れ。 己に勝って信用増大。
- 優先順位をつけ即実行。 一分の速さは力なり。
- 整理、整頓、清掃、清潔、躾。 習慣は人格を作る。
- 報告、連絡、相談を多く行え。 自分の成長の糧。
- 考え方は幹から先に。 森の成果を目指せ。
- 反復ではなく改善をしろ。 時間の短縮と結果の向上を。
- 良い事はまねて上まわれ。 次は新しい企画創造。
- 無理に挑戦。 知恵、心、勇気で全力行動。
- 競争なくして成長なし。 ゲーム感覚で自らの幸せを。
以上
たしかに、この「ビジネス基本十訓」自体は割と大切なことが書いてあると思います。
ですが、これを「丸暗記」し、「50秒以内」に大声で叫ぶ必要はあるのでしょうか。
しかも、私の友人たちは最終日にこれができないと「内定取り消すかもよ」と担当講師に言われたそうです。
また、担当講師はとにかく理不尽になんでも怒鳴りつけるような方だったそうです。
彼と一緒に研修を受けていた人のなかには、途中で泣き出す人もいたそうです。
軍隊かなにかの訓練施設ですか?
映画「フルメタルジャケット」のハートマン軍曹を思い出します。
このような研修を行っている「ビジネスグランドワークス」も、その親会社でそこに研修を委託している「株式会社ノジマ」も正直時代遅れだと思います。
最後に
もちろん、今回の件はその店長の仕事に対する態度がよっぽど悪かったのかもしれません。
それでも、間違いなくパワハラですし、子会社に洗脳教育ととられるような教育をさせている、というのも事実です。
友人は本社で働くわけではないので、その店舗や上司によるかもしれませんが、危ないと感じたら無理に頑張らず、最悪の事態になるまえに逃げ出すことも考えてほしいと思います。
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